Thought process #2


Thought process の記事からの続きです。

Endgame における Thought process について述べていきます。
Middlegame から Endgame に入ると Endgame Strategy というものが
ありますが、それについては専門書がありますので、そちらの方で学んで
いただくとして、ここでは、駒数が少なくなったエンドーゲームの局面で
Thought process を見ていきます。

前回の記事でも述べたように、Thought process は人それぞれですので
参考例としてご覧になってください。エンドゲームではどのように考えるかと
いうことと、タクティクス問題を解く時とは考え方が違うことを
分かっていただけたらと思います。


Black to move


chess.com の Puzzle に出てきた問題で、エンドゲームの状況です。

エンドゲームでは、タクティクスのように有利を得たり、不利を回避する
というような考え方ではなく、局面の状況から、自分は勝てるかどうか、
勝てないなら引き分けにする方法、どうなったら負けるか、ということを
初めに考えます。

上局面では、黒は勝てそうにないため、引き分けにできるか? といった
状況です。また、黒の指し手が悪ければ、黒が負けることもあり得ます。




黒の目標が引き分けに決まったら、引き分けにするための方法を考えていきます。
タクティクス問題であれば、Check, Capture, and Threat の候補手から
考えていけば良いですが、エンドゲームは状況により様々な考え方になります。

記事が長くなるため、ここでは1例しか挙げませんが、目標を達成するために
どうすれば良いか? という考え方になります。

上局面だと、黒の目標はドローにすることです。




黒のポーンは白キングに取られそうなので、黒がドローにするためには
白ポーンを取るか、白キングが 黒ポーンを取った後、黒キングが g7 and g8 
を支配できればドローになる可能性があります。それらを考えてから、実際に
読みを行っていきます。

タクティクス問題を解く時に、Check や Capture の手を数えるということ
がありましたが、エンドゲームでは候補手や、相手の応手を数えることがあります。



初手は何が良いか? と考える前に、候補手の数をすばやく数えるのが
有効です。
1...h6+  1...Kh3  1...Kg3  1...Kf3
とりあえず、この4つが候補手です。

エンドゲームではこの手はないだろう?
というような手が最善手のことも多いため、安易に候補手を捨てない方が良い
ですが、今回は初手の候補手は4つで良さそうです。
候補手を数えることがポイントです。

後はそれぞれの候補手を確認していくことと、相手の応手を考える時も
相手の応手がいくつかあるか、数えるのが有効です。




どの候補手から考えていくかは、人それぞれだと思いますが、候補手として
すぐ無効だと分かりそうな手から、私は考えることが多いです。
1...h6+ 2.Kxh6 白ポーンの昇格を止められません。

次は 1...Kg3 を考えます。1...Kg3 2.Kh6 などとすぐ動きを考える前に
白の応手を数えます。持ち時間との関係もありますが、相手の応手が
いくつあるか考えると、最善手の見落としが減ります。
良い手を見つけると、他の手を考えない、ということに気をつけましょう。

1...Kg3
2.Kh6  2.h6  2.Kf5  2.Kf6 
応手は4つです。

2.Kf5 と 2.Kf6 は考えなくて良さそうですが、数えるだけならすぐできるため
数えてしまった方が良いです。




1...Kg3 2.Kh6 ここでも、白の候補手を数えますが、省略します。
2...Kh4 3.Kxh7 Kxh5 白はポーンを失うため、2.Kh6 は悪いです。

1...Kg3 2.h6 Kf3 3.Kf6 Kf4 4.Kg7 Kf5 5.Kxh7 Kf6 6.Kg8 Kg6 7.h7
1...Kg3 2.h6 Kf3 3.Kf6 Ke4 4.Kg7 Ke5 5.Kxh7 Kf6 6.Kg8 
1...Kg3 はダメそうなので、1...Kf3 を読んでいきます。




1...Kf3 2.Kh6 Kg4 3.Kxh7 Kxh5 ドロー
1...Kf3 2.h6 Ke4 3.Kf6 Kd5 4.Kg7 Ke6 5.Kxh7 Kf7 これはドローになるため、これが正解ではありますが、1...Kf3 2.Kf5 や 1...Kf3 2.Kf6 の変化を確認することを行うと、読みの能力が高まることでしょう。

このようにエンドゲームは駒数が少なくても、読みの変化が多かったり
手順が長くなったりで、容易ではないですが、読みの能力を上げるのに
良いトレーニングとなるでしょう。

変化が多く混乱したり、手順が長くなり駒の位置を忘れてしまうことについては
読みを妨げる要因 の記事で扱います。


エンドゲームはタクティクスとは違った難しさがあるため、地道にエンドゲーム
問題を解いていくことが大事です。
R1600 以上 推奨のようですが、下記アプリをオススメします。

Total Chess Endgames 1600-2400 ( Chess King ) 

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