Thought process


どのように読みを行えば良いのか?
GM はどのように読みを行っているのか?

など、読みの能力をあげたいと思った時に、気になることです。
読みを行う方法は、人によって異なるため、どのようにするのがベストとは
言えませんが、読みに関連した本や、今では YouTube で関連動画を
見ることもできますので、まずはマスター達がどのように読みを行っているか
知ると良いでしょう。

ある程度 読みに関する情報を得られたら、今度は自分が読みを行う時の方法を
作っていく必要があります。読みの方法を、1度作っても、プレイヤーが経験を
積み、知識が増えていくと、読み方も変わっていくでしょう。

私はアマチュアですが、私が読みを行う方法を、参考までに記載しておきます。


1つ言っておきたいのは、Tactics と Endgame では読み方が異なることです。
Tactics は有利を得たり、不利を回避するために、気づかないといけないことが
あります。

一方、Endgame では、状況について考え、勝つための方法、勝てないなら
引き分けにするための方法、どうなると負けるか? というのを判断して
対処していかねばなりません。



Tactics 問題を解く時の参考例



Black to move


chess.com の Puzzle です。以下、私の考える方法を記載します。
あくまで参考例です。

まず、局面をざっと見て、駒の配置を確認します。タクティクス問題を
早く解こうとすると、部分的な視野になり、気づいてない駒の利きが
出てくるため、局面全体を意識的に見ます。

次に、候補手を考える前に、手がかりを探します。
いくつかの手がかりから、タクティクスで有利を得る方法、不利を回避する
方法が見えてきます。




この局面で私が思う手がかりは
1...Qxc2 でチェックできるが、Rd2 の守りが利いている。
...Qc3 から ...Qb2 or ...Qa1 でメイトの可能性
Qd5 が Qc6 と Re4 を攻撃している
Qd8+ とされると、Rxd8 Rxd8+ Kh7 Nf8+ となる可能性
Ne6 が g7 ポーンを攻撃している
Re4 と Qc6 が Ne6 を攻撃している
Bf6 の利き h8-a1
白 b3 黒 a4 のポーンテンション
g ファイルがハーフオープンファイル

こんな感じに、手がかりになりそうなことを挙げます。
いきなり候補手を考えるより、手がかりを考えると、気づきづらいことに
気づけたりします。




続いて候補手を考えていきます。
候補手は Check, Capture, and Threat の順に見ていきます。

ありがちなのが、途中で良い候補手を見つけると、それ以上 他の候補手
を考えない、というもの。その候補手が最善手の場合もありますが
そうでない場合は、最善の候補手に気づかないことがあるため
Check する候補手、Capture する候補手は、全て確認するようにしてます。




チェックする手を全て確認しますが、まずはチェックする手がいくつあるか
数えるようにしてます。
1...Qxc2+
この局面ではチェックする手は1つだけです。
チェックする手がいくつあるか確認したら、その後の変化を見ずに
今度は Capture する手を確認します。

1...Qxc2+
1...Qxd5
1...Qxe6
1...axb3
1...Rxf4
1...Rxe6

Capture する手は6つあります。1...Rxf4 のように、その手は読まなくても
良さそうな手もありますが、そのような手が最善手となる場合もあるため
その後の変化は読まなくても、Capture する手は全て数えてしまいます。
数えるだけなら、素早く行えますので。




Threat が最善手となる場合も多く、始めから Threat の手が最善手に
思える局面もありますが、Check と Capture を先に確認することが
多いです。




1...Qxc2+ 2.Rxc2 で無効。




1...Qxd5 2.Rxd5 axb3 3.cxb3 有利を得てません
1...Qxe6 2.fxe6 無効
1...Rxe6 2.Qxe6+ Qxe6 3.fxe6 axb3 4.cxb3 
1...Rxe6 2.fxe6?? Qc6
1...axb3 2.cxb3? Qc3 ですが 2.Qxc6 bxa2+ 3.Kxa2 Rxc6
もう少し先を読む必要があります。
1...axb3 2.Qd8+?? Rxd8 3.Rxd8+ Bxd8 4.Rxd8+ Kf7
Bf6 の利きが d8 に及んでいるのにここで気づきました。
後から気づくこともあります。

など、良い感じの手が見つからないため、Threat の手を考えます。
ちなみに、頭の中だけで考える時は、先程の読みをいつも全部考える
わけではないですが、読みの変化を紙に書くと、混乱が抑えられ
読みの能力を上げる効果があると思います。




Threat としては 1...Qc6 が考えられます。始めからこの手に気づき
その手を読んでいく場合もありますが、いつもそれをしていると
Check や Capture から始まる手が最善手だということを見落とすことが
多くなります。ケースバイケースではありますが、基本的には Check と
Capture の候補手から見ていく方が良いと思います。




1...Qc6 は 2...Qb2# と 2...Qa1# の Threat があります。
1...Qc6 に対する白の応手は何でしょうか?
通常は 2...Qb2# と 2...Qa1# を回避する手を探しますが 
相手の応手を考える場合も、Check Capture の手から考えると良いです。
ただし、この場合、Threat を回避できる、Check Capture の手です。

1...Qc3 2.Qd8+ Rxd8 3.Rxd8+ Bxd8 4.Rxd8+ Kf7 
黒が有利を得ているので、自分の場合は、ここでこの読みを保留して
他の応手を考えます。

Capture する手でメイトは回避できないため、他のメイト回避の手を
考えます。




1...Qc6 に対し 2...Nd4+ または 2...Rd4 が考えられます。
2...Qd4 は省略。
2...Nd4+ 自分は 3.Kh8 として不正解でしたが 3.Kh7 が正解です。

2...Rd4 の変化も読んだ方が良いですが、長くなるため先に進みます。


1...Qc6 2.Nd4+ Kh7 3.Rd3


2...Kh7 の手を考えてなかったため、3.Rd3 も考えてませんでしたが
もし 2...Kh7 を考えていた場合、3.Rd3 の応手を考えたでしょうか?
その時によると思いますが、このように予期しなかった応手がくることが
結構あります。

Puzzle を正解すれば良いということではなく、予期せぬ応手がきたら
何故その応手を考えなかったか、考え、その応手に気づけるようにしたいです。
Tactics 問題は、有利を得たり、不利を回避するための訓練だけでなく、
相手の応手を読むための良いトレーニングです。




Thought process について、ある程度述べましたので、後はこの後の
手順だけ記載しておきます。


3...Rxd4 4.Rxc6 Rxd5


5.Rxd5 Bxc3 となります。


長くなりましたので Endgame における Thought process は次の記事で扱います。

Thought Process #2
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